ビデオ伸び計を用いたゴムの引張試験
ゴムなどの軟質材料は変形しやすいため、非接触式のビデオ伸び計でのひずみ測定が有効です。実例としてJIS K 6251を参考に、市販天然ゴムシートの引張試験を行いました。
<試験条件>
- つかみ具間距離:60 mm
- 標線間距離:20 mm
- 試験片の形状:ダンベル状3号形



上記のグラフでは、ストローク量から求めたひずみ(呼びひずみ)、ビデオ伸び計で測定した標線間距離から求めたひずみをそれぞれ採用した2つの応力―ひずみ曲線を示しています。これらの曲線は見た目に大きく異なっており、標線間距離から求めたひずみを用いた曲線のほうが、ゴムが大きく伸びていることを示しています。具体的には、3%程度のひずみの小さな領域において2つのひずみに大きな違いはありませんが、変形量が大きくなるにつれてその差は大きくなり、呼びひずみが100%の時、標線間距離から求めたひずみは200%と、2倍にもなっています。それぞれのひずみが100%における引張応力においても、1.9 MPa(呼びひずみ)と1.5 MPa(標線間距離から求めたひずみ)という、異なる値になる結果となっています。
これらの違いは、ひずみを測定する試験片の範囲に由来しています。呼びひずみでは、つかみ具間のダンベル状試験片全体のひずみを評価しています。しかし、ダンベル状試験片の平行部と両端部では、幅の狭い平行部のほうが優先して伸びるため、呼びひずみではゴムの伸びが過少評価され、所定の伸びにおける引張応力は過大評価されることになります。このことから、ゴムのように伸びが重要視される材料の場合、伸び計を用いて標線間の距離の変化から、平行部のみのひずみを正確に測定する必要があります。
KISTECではビデオ伸び計を用いたゴムなどの軟質材料やフィルムの引張試験が可能です。また、恒温恒湿環境における強度試験や、促進耐候性試験前後の強度試験による耐候性評価も可能です。
ご興味ございましたら化学技術部までご相談ください。
材料 高分子|技術分野 強度|分析・試験・評価法 強度
- この分析事例に関連するお問い合わせ
- 担当:化学技術部 材料化学グループ